私は思想的にアナーキストを自称しており、その思い込みの流れから国家から少しでも身をかわす一環として貯金の一部をいわゆる仮想通貨、具体的にはビットコイン(Bitcoin)に換金しております。
先日旅行でバンコクに滞在したのですが、滞在中ビットコインがどんどん値上がりして、旅行中遊んでお金を使っても為替差益が生じて見かけ上の貯金額が全然減らないというホクホクな感じを味わわせていただきました。
ならばというわけでもないのですが、どうせ円を両替するならビットコインをタイバーツに両替すれば手持ちの現金も減らないしいいんじゃないか、と思ってビットコインが換金できるATMがないかなとインターネットで探してみたら……一台あるようです。ATMを探すのにはCoinatmRadarというスマホアプリを使いました。

iOSCoinATMRadar
AndoroidCoinATMRadar

ちなみにGoogleマップでの表示はこちら。

バンコクの中心街からけっこう北のほうに行った川の中州のようなところにピンが立っています。こちらはクラット島という島になっており、ホテルのフロントで訊いても「あ〜クラット島ね〜。ボートで行くんでしょ」みたいな感じで知られてはいる場所であるようでした。
そんな中心街から離れたところにビットコインのATMなんてものがあるものかなと不思議に思いましたが、イメージとしてそういった郊外に新興の金融街みたいなところがあるのか、あるいはちょっとしたIT村みたいなピカピカした感じの一角があってそこに厳かにATMが設置してあるような感じを思い浮かべておりました。
インターネットで出回っている記事を見ても「あるらしい」との記事ばかりで実際に行ってみたという記事は見ません。バンコクで特にやることがあるわけでもなし。では行ってみるか。ということで、はるばるクラット島まで出かけてみることにしました。
出かける前にホテルで行き方を尋ねてみたものの先述の通り「ボートで行くんでしょ」くらいの感じでイマイチ要領を得ません。とりあえずBTSに乗ってMo Chit駅まで行って、そこでタクシーを捕まえて「クラット島まで」とお願いしました。結果的には行きはちょっと渋滞があってちょうど200バーツほど、帰りは高速を走って高速代20バーツを含めて200バーツほどでした。あとでタイ人の友人が教えてくれたところによるとビクトリー・モニュメント駅からバスがあるようです。クラット島で聞くところによると曜日によっては川を行く船もあるようでした。

タクシーが船着き場についてそこからはボートで島に渡ります。川は別に川幅があるわけでもなく、船着き場からすぐそこにクラット島が見えてます。その時点で私が持っていた郊外の新興の金融街とかIT村とかいう幻想は打ち砕かれました。単なるいい感じののどかな中州の島という風情です。船が着いたところにお寺があってその周辺には屋台や商店がけっこうあります。私はとりあえず島の東岸を北から南まで歩いたのですが、東岸の北にも南にもお寺があってそれをつなぐ道中に土産物を売るお店や飲食店が途切れずあり、道中全然飽きません。島は焼き物の街でもあるようで素焼きを焼く窯があったり素焼きを売っている観光センターなんかもあったりしてゆったりとした時間が流れる本当にいいところ!
若者のデートスポットにもなっているようでかなりオシャレな店も多かったです。タイ西部で栽培されたコーヒーを自分で焙煎して挽いて淹れて飲ませてくれるお店があり、そこに入ってひとりで嬉々としてDIYコーヒーに興じたりなんかしてすっかりビットコインのATMのことなど忘れておりました。どこをどう見てもATMがあるような雰囲気が無いからです。(船が着いたところにあるお寺に普通のATMはありましたが……)しかしそのDIYで淹れたコーヒーを飲みながら我に帰りビットコインのATMを探しに来たこと思い出し、あらためてCoin ATM Radarのアプリの地図を拡大し、ピンが立っているところをクリックしてみると具体的な場所のより詳しい情報が表示されるではありませんか。私は単に地図にピンが置いてあるだけのアプリだとナメてかかっておりました。クリックしてみると場所の名前として「ChitBeer」との表示が。果たしてそのChitBeerとは今私が呑気にコーヒーを飲んでいる真向かいのバーでありました。

ここか!と思ってバーに入ってみると……ありました!ビットコインのATMが!その名もBTM。それは無造作にバーの入り口近くに古びたゲーム機……そう、例えば往年のギャラクシアンのよう、に置かれていました。
ときめきに胸を踊らせ、早速お金を引き出そうと思い機械に触れて見ましたがなんの反応もありません。店員さんを呼んで「これいけるんですか?」ときいて見ましたが店員さんも慌てて「あかんあかん!」みたいな感じで腕をバッテンにして機械に触ろうとする私を止めました。
機械は置いてあるもののちゃんと面倒を見ているわけでもなく、ひょっとしたらお金も入ってないのではないかと私は見ました。液晶を触っても反応しなかったからよかったものの、もしウォレットの操作をした後で肝心の現金が出てこないなんてことになったら……と思ったら危ないことこの上ありません。それだったらそもそも機械も置いとくなよ!みたいな感じでイラっとしたので何も飲まずに店を後にしました。

結果的にはバンコクにビットコインのATMはありましたがちゃんと動いてはないようでした。訪ねて行かれる方は徒労に終わる可能性が高いので気をつけてください。

帰り道オシャレなレストランで結構値段の張る(145バーツ)のパッタイを頼んだら大きなテナガエビが二匹も乗った豪華版でした。
振り返ればビットコインのATM以外の部分では総じてものすごいいい場所でありました。バンコクからのワンデイトリップにはちょうどいいところなのではないでしょうか。レンタル自転車もありますのでゆっくり島内を一周するのも良さそうです。